外来のご案内
摂食・嚥下外来
概要
診察日 (予約制) |
「外来診療担当表」をご覧ください。 |
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担当職種 | リハビリテーション科専門医、言語聴覚士、管理栄養士、外来看護師、摂食・嚥下障害看護認定看護師 |
対象 |
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リハビリテーション科専門医が診療を行い、嚥下機能評価に基づき病態を判断すると共に患者さま一人ひとりの機能に合った工夫や注意点の指導など個別の対応をいたします。ケアマネジャーさんや施設職員の方のご同伴も歓迎いたします。
詳しくは下記PDFをご覧ください。
嚥下障害とは
病気や廊下などの原因により、噛んだり飲み込んだりすることが難しくなった状態を嚥下障害といいます。
主な症状としては、
- 食べる時にむせる
- 口の中に食べ物が残る
- 食べるのに時間がかかる
- 肺炎を繰り返すなど
治療とリハビリテーションについて(治療・ケアに携わる方へ)
一言で摂食・嚥下障害と言っても、実はその原因や病態は非常に様々です。大きく分類すると、下記の2つに分けられます。
- 1)摂食・嚥下に関係する口腔や喉、食道などの組織・器官の構造に問題がある場合。
- 2)構造上の問題は無くてもその動き(機能)に問題がある場合。
1)には炎症性疾患や悪性腫瘍による狭窄、頸椎疾患等による外部からの圧迫が、2)には脳卒中やその他の嚥下に関わる神経の異常をきたす疾患、筋肉の疾患などが相当しますが、それ以外にも服用中の薬剤の影響や様々な理由により飲み込む機会が少なくなってしまっている場合(廃用症候群)にも嚥下機能は低下するといわれています。また、高齢の方の場合には、先に述べた様な原因に心当たりが無くても、加齢による組織や器官の構造上の変化(歯の欠損や喉の位置の下降)や生理的な変化(唾液の分泌低下や咳反射の低下)により嚥下障害をきたすことがままあり、さらには気づかない間に疾患にかかっている可能性(かくれ脳卒中など)も考える必要があります。
以上のような様々な原因で嚥下障害をきたすと、誤嚥による肺炎や窒息のリスク があるばかりでなく、脱水や栄養不良の原因となります。そのため、当院摂食・ 嚥下外来を受診された患者さまには、問診の結果をふまえた上で血液検査や胸部・ 腹部のレントゲン検査、さらには必要に応じCT検査を実施し、栄養不良や脱水 の有無、肺炎の兆候の有無、かくれ脳卒中等の気づかない疾患の診断を行ってお ります。その上で患者さま一人一人の摂食・嚥下障害の原因・病態について診察や さらに細かい検査(レントゲンを用いた造影検査、内視鏡検査)を実施し、構造上 の問題、機能の低下の状況について診断いたします。
検査の結果に基づき、摂食・嚥下機能そのものに対する治療的な訓練の他、肺炎 の予防のための日々のケア、ある程度の摂食・嚥下障害が存在しても比較的安全 に飲み込むための工夫(代償的手段)について患者さま一人一人の状態に応じてきめ 細かい指導を行っております。指導にあたってはリハビリテーション科専門医の他、 摂食・嚥下障害看護認定看護師、言語聴覚士が介入し、必要に応じ管理栄養士による栄養 指導も可能です。なお、患者さまご本人だけではなく、ご家族や介護者、施設入所中 の方に関しましては施設職員の方への指導を積極的に行っております。
記:新横浜リハビリテーション病院 診療部長
松宮 英彦(まつみや ひでひこ)
日本リハビリテーション医学会専門医
日本リハビリテーション医学会指導医
義肢装具等適合判定医
嚥下予防
食べられる身体づくり
ゴックンという飲み込み(嚥下)の行為は、脳からの指令で始まり、コントロールされています。通常は「空気の道」として利用されている通路=咽喉(のど)が一瞬の間だけ「食物の道」になるための重要な交通整理です。
安全においしく食べるためには、必要な機能が意外とたくさんあります。
1.食べられる口 | 清潔で湿潤している。唇がしっかり閉じられる。は又はきちんと合った入れ歯がある。舌が動く。 |
2.ゴックンの機能 | ツバを飲み込むことができる。 食べ物や飲み物を飲み込むことができる。 |
3.ピンチに活躍できる、元気な肺 | 誤って気管に入ってしまった食べ物や飲み物を外に出すことができる。 |
4.食べられる消化管 | 栄養が吸収される。 |
5.快便のススメ | すっきりと便が出る。 |
このうちのどれが欠けても重大な問題がおこってきます。
他に、身体の機能(姿勢や手の運動)、食事面(味、見た目、におい)、栄養についてなどに配慮するポイントがあります。これらは、いつまでもおいしく食べるための秘訣でもあり、肺炎予防のケアにもつながります。
また同時に右の図のような、嚥下体操も含めながら、患者さまの身体の状況に合わせて、今、できることから食べられる身体づくりをはじめましょう。安全においしく食べるためには、必要な機能が意外とたくさんあります。
嚥下レシピ
当院で実際に提供しているゼリー食レシピの一部を公開いたします。
メイキングオブ嚥下食
粥ゼリー作成中の様子です。固形化補助食品の種類や濃度を変えて、味と物性を確認しているところです。全部で30パターンほど試しました。
最後の2者択一は、摂食・嚥下サポートチームで決戦投票を行い決定しました。
<材料>
●粥(300g)
●スベラカーゼ(4.5g)
●ホット&ソフト(3g)
<作り方>
1)粥は80℃以上になるまで加熱する。
2)粥にスベラカーゼ、ホット&ソフトを混ぜ込む。
※そのままミキサーにかけてしまうと、粉末のスベラカーゼとホット&ソフトは飛び散るので注意。
3)ミキサーに2)を入れ、1分以上攪拌する。
4)容器に入れ、冷蔵庫で固める。
スベラカーゼ | 酵素入りゼリーの素。原材料:デキストリン、ゲル化剤(増粘多糖類)、トレハロース、酵素 |
ホット&ソフト | あたたかいソフト食用固形化補助食品。原材料:デキストリン、ゲル化剤(増粘多糖類) |
<材料>
●水(100cc)
●ダシの素(0.6g)
●塩(0.8g)
●うすくち醤油(0.02g)
●イナアガーL(2g)
<作り方>
1)水またはお湯を沸騰させ、ダシの素、塩、うすくち醤油を入れ、すまし汁を作る。
※味噌汁やスープなどでもよいでしょう。
2)1)を軽く沸騰させ、イナアガーLを入れ、よく攪拌し、火を止める。
3)容器に入れ、冷蔵庫で固める。(常温でも固まります)
イナアガーL | 粉末ゼリーの素。原材料:ブドウ糖、寒天、ゲル化剤(増粘多糖類) |
<材料>
●水(100cc)
●麦茶(適量)
●ゼラチン(1.6g)
<作り方>
1)好みの濃さに麦茶を作る。
※緑茶、ほうじ茶、紅茶などでもよいでしょう。
2)1)を軽く沸騰させ、ゼラチンを入れてよく攪拌し、火を止める。
3)容器に入れ、冷蔵庫で固める。
<材料>
●水(100cc)
●ポカリスエット<粉末清涼飲料>(5g)
●イナアガーL(2g)
<作り方>
1)水またはお湯にポカリスエットの粉末を入れる。
※好みの粉末清涼飲料で代用してもよいでしょう。
2)軽く沸騰させ、イナアガーLを加え、よく攪拌し、火を止める。
3)容器に入れ、冷蔵庫で固める。(常温でも固まります)
地域連携
介護老人保健 ラ・クラルテ
支援内容 | 施設スタッフとの協働による嚥下機能検査の実施と検査画像の提供 |
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実際に施設において評価・訓練にあたっている言語聴覚士の立会いのもと、嚥下機能検査を行い、検査画像(CD)にリハビリテーション科専門医の所見を添えて提供しています。
必要に応じて、嚥下機能検査後に当院専門スタッフとともにミニカンファレンスを行い、方向性を検討しています。
羽沢の家 特別養護老人ホーム
支援内容 | 「経口摂取への移行や経口摂取維持に必要なケア」の技術的サポート |
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嚥下造影検査や嚥下内視鏡検査などの嚥下機能検査、頭部CT、胸部レントゲン検査、血液検査などのリスク管理に必要な検査の後方支援、および施設ケアスタッフへの指導を行っています。安全な経口摂取が可能かどうかの評価・判断にもご利用いただいています。
新横浜リハビリテーション病院 通所リハビリテーション
支援内容 | 「口腔機能向上ケア」の技術的サポート |
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スクリーニングからアセスメント、口腔機能改善管理指導計画の作成方法、スタッフへのケア技術の指導を行っています。必要時、摂食・嚥下外来への受診をお奨めし、専門スタッフによる指導と連携を行います。