2014年12月定期掲載
「退院後の生活の質を高めていく為に ~装具を活用して~」
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脳梗塞や脳出血により足に麻痺が生じてしまった患者様からは、「歩けるようになりたい」という希望が聞かれます。現在の理学療法において、歩行獲得や歩行能力の向上を考える時に装具の作製がリハビリテーション医療にて重要な位置を占めています。装具とは身体機能障害による筋力低下などを他の方法で補おうとする方法の一つとして使用されています。例えば、脳梗塞・脳出血などによる麻痺の影響にて足が自分の意志で動かせず、歩く際に足先が引っかかってしまったり、筋力低下により身体を支えきれず歩く事が出来ないといった状況が発生してしまいます。そのような患者様のために理学療法では運動療法と並行して、装具を使用した装具療法を実施しています。装具には多くの種類があり、今後の回復具合を考慮するとともに退院後に外出する機会が多いなど生活場面にも考慮した患者様に合った装具を検討・作製を行っています。
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歩くことだけではなく車椅子への乗り移りやトイレなどの日常生活の場面においても活用されています。車椅子への乗り移りでは足首が捻らないようにする足首の保護や立ち上がる際の身体を支える役割を担っています。トイレにおいても立っていることが出来ず且つ身体を支える介助量が多く、トイレ動作が困難となる場合もあります。その際も装具を使用することで介助量が軽減し、トイレ動作が行えるようになります。更に動作の安定性が増すことでお一人でのトイレ動作が可能となります。このように歩くこと以外での生活の質を高めることやご家族様の介護負担を少なくしていく為に、積極的に日常生活場面においても装具を活用しています。
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このように、装具作製にて車椅子へ乗り移ることが出来ることでの寝たきりの防止や歩行獲得による退院後の外出機会を得ることなど、生活の質を高めていく為に、リハビリドクター・義肢装具士とともにチームで患者様と関わっています。
当院では入院患者様だけでなく、退院後の患者様や外来患者様で装具が破損したり、装具のタイプを変更したりなどのフォローを装具診の受診にて行っています。お気軽にご相談していただけたらと思います。
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執筆 2014年11月15日
新横浜リハビリテーション病院
リハビリテーション科
石井 紳也
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