2012年12月定期掲載
「退院前家屋訪問について」
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当院では、ご自宅での生活を安全かつ快適に送って頂くために、患者様のご自宅の家屋状況を把握し、患者様・ご家族にあった生活環境を整えるため、必要性に応じて、退院前にご自宅等に訪問し、手すりの設置などの家屋改修や福祉用具の導入についての情報提供をさせていただいています。
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歩けるようになった患者様だけがご自宅に退院できるわけではなく、車椅子を必要とされる方でも、さまざまな手段を利用し、ご自宅での生活を送ることは可能です。
具体的に、担当のリハビリスタッフや看護師と、ケアマネージャーや住宅改修業者の方が同席のもと、ご自宅に伺い、患者様の動作能力に合わせて、「玄関までの道のり」・「玄関(上がり框など)」・「寝室」・「居間」・「室内の階段」・「トイレ」・「浴室」などの箇所ごとに、移動手段や動作手順・方法の確認を、患者様・ご家族と共に、1つ1つ行っていきます。その際に、「ここに手すりを設置した方が、動作が行いやすい」「ここの段差が移動するのに障害となっている」など、様々に生じた問題点を、住宅改修業者の方と相談しながら、手すりの設置位置・段差の解消・段差に対する福祉用具の導入など、検討していきます。また、ご自宅で入浴するにあたり、御自身で安全に、ご家族が介助しやすいような環境設定・介助方法など提案させて頂いています。
退院前家屋訪問の場では、家屋改修についての話しのみでなく、ケアマネジャーを交えて、介護保険を利用しての退院後の生活援助・サービスについての話し合いも行います。「退院後に患者様の動作能力が低下しないように、ディケアを利用しリハビリする機会を設けていくか」・「掃除や洗濯・調理などの家事動作を、部分的にヘルパーを利用して援助してもらうか」など、患者様・ご家族と相談しながら、患者様が安全に生活できるように、またご家族の身体的・心的負担の軽減を図れるよう調整を行っていきます。
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その後は、退院前家屋訪問の場で確認させていただいた情報を参考に、退院までの間、ご自宅で必要となる動作を一緒に練習していきます。退院前に患者様自身がご自宅での生活をイメージできることで、リハビリへのモチベーションも格段に上がるのを感じます。そして、退院後の身体状況の変化や、提案させて頂いた福祉用具・環境の使用具合や変更点などについて、退院より6週~8週後を目安に、承諾頂きました患者様・ご家族に電話にて確認させて頂いています。
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退院後に、患者様が安全な生活を送れているか確認するとともに、患者様よりいただいた情報を今後のリハビリに繋げていけるよう努めています。連絡させていただいた患者様の元気な声を聞けるのが、私たちの励みにもなっています。今後も、患者様が退院後もその人らしい生活が送れるよう、支援していきたいと思います。
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執筆 2012年11月27日
新横浜リハビリテーション病院
リハビリテーション科
田辺 紘大
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